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卵子凍結では成熟卵を何個凍結すればいいの?年齢別で解説!

こんにちは、楠原ウィメンズクリニック培養室です!


卵子凍結を検討されている方

自分の年齢では子供を授かるのにどれくらいの数を凍結する必要があるのか、参考になる文献を見つけたので紹介します。


2017年に出た論文では
例えば34、37、42歳の患者さんでそれぞれ成熟卵母細胞が8個ある場合、胚盤胞は平均で34歳は3個、37歳は2個、42歳は1個であると予測します。

上記を踏まえて、20個の成熟卵母細胞を凍結すると少なくとも1人の生児出産の可能性は34歳では90%、37歳では75%、42歳では37%となります。


それに対して、少なくとも1人の生児出産の確率を75%になるようにもっていくためには

34歳では10個
37歳では20個
42歳では61個

の卵母細胞を凍結する必要があるわけですね。(画像のグラフを参照ください。)


20個の成熟卵母細胞を凍結した場合、1人ではなく2人の生児を出産する可能性は34歳では66%、37歳では39%、42歳では7%になります。
(引用文献:Human Reproduction, Volume 32, Issue 4, April 2017, Pages 853–859)


患者さんによっては30代前半の方でも数十個必要な場合もありますし、40代の方でも数個で妊娠する方はもちろんおりますので、患者背景によって異なることはご理解ください。



ちなみに卵母細胞は採卵後に成熟評価を行いますが、MⅡ・MⅠ・GVと大きくわけて3段階の評価を行います(変性卵は除く)。
成熟卵に値するのはMⅡ卵のみです。
MⅠやGVも追加培養をして成熟卵にまで成長させることもありますが、最初からMⅡであった卵と比べると質は低下してしまうので、ご注意ください。


東京都でも卵子凍結の助成金補助が検討されており、大手企業では既に卵子凍結をする際の費用を補助している会社もあるとか。


当院でも卵子凍結の患者さんが増えておりますが、

毎月開催している体外受精セミナーでも、卵子凍結についてご説明しているので、卵子凍結のみをご希望の方もお気軽にご参加ください。


ご参考になれば幸いです。