卵管因子 / Oviduct factor

子宮内膜症は不妊の原因?

子宮内膜症がどんな病気であるか、またどのように診断するか、その症状について項目別に詳しく述べております。
子宮内膜症は近年増加傾向にあり、また生理痛の原因になるばかりでなく、不妊の重大な原因にもなります。
以下の症状があてはまる方は、早めの診察をお勧めします。

子宮内膜症はなぜ不妊原因になるのでしょうか?

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子宮内膜症は骨盤内の臓器同士を癒着させます。

子宮内膜症の発生しやすい場所は子宮と直腸との間のダグラス窩や卵巣内です。
その結果、子宮後面と直腸、卵巣と卵管、卵管と子宮というように妊娠に重要な役割を担う骨盤臓器どうしが癒着し、骨盤内の解剖学的な位置の異常などにより、卵巣が卵の放出、卵管への卵の取り込み(pick up)、卵管による卵の輸送が障害され不妊の原因となります。

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子宮内膜症は骨盤内の慢性的な炎症です。

子宮内膜症は骨盤内の慢性的炎症です。
骨盤内に慢性的に炎症がおこると骨盤内に水が貯まります(腹水)。
この腹水中には免疫担当細胞が増加したり、炎症物質サイトカインが増加しています。
その結果、卵胞の発育が障害されたり、卵の質が低下し、受精率、妊娠率が低下します。
さらには卵巣内に発育した子宮内膜症(チョコレートのう腫)は卵巣機能を低下させます。
このようなことが子宮内膜症の不妊原因と考えられています。

子宮内膜症性不妊の治療

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排卵刺激と人工授精

比較的軽症の子宮内膜症に対し、排卵誘発剤を使用し、排卵の数を増やし、人工授精を行う方法が有効であるとの報告があります。

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手術療法(腹腔鏡下病巣切除)

1)軽度子宮内膜症

内膜症の進行が比較的軽い例では腹腔鏡という内視鏡を用い、腹腔内洗浄や卵管癒着を認める症例では癒着の剥離により、術後の妊娠が期待できます。

2)重症子宮内膜症

重症の子宮内膜症でチョコレートのう胞や強い癒着を伴う例に対して腹腔鏡下に癒着を剥離したり、内膜症病変を切除し、骨盤内臓器の解剖学的異常を矯正することにより妊娠率の改善が期待できます。

3)子宮内膜症性のう胞(チョコレートのう胞)

卵巣内に発生して徐々に増大し、やがて卵巣内に血液の塊ができることをチョコレートのう胞といいます。 このチョコレートのう胞に対し腹腔鏡下にのう胞内の血液を排除し、チョコレートのう胞を切除する方法は術後の妊娠が期待できるものです。

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体外受精

体外受精は子宮内膜症性不妊に有効な方法です。
しかしどのような患者様に本法が有効であるか充分に検討する必要があります。

内膜症は早めの診断・治療が重要です。症状がある方は一度、受診をお勧めします。(保険診療)当院では遠方の方でも、診察による診断後、オンライン診療でのフォローも含めて相談受診していただけます。

はじめての方へ

子宮内膜症性不妊患者様への治療指針 

不妊原因として子宮内膜症の合併があげられる場合は、できたら腹腔鏡を行うことが好ましいといえます。それにより子宮内膜症が確実にあるか否か、卵管周囲や卵管の先端(采)の癒着を判定できます。
その結果、

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軽症子宮内膜症の例では

1)年齢30歳以下、不妊期間3年以内、他の不妊原因の合併がない

→・無治療(待期療法)

・タイミング法

3~6ヶ月で妊娠しない→排卵誘発剤+人工授精
(Clomid、hMG)

2)重症子宮内膜症

・タイミング法→排卵誘発+人工受精

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重症子宮内膜症の例では

腹腔鏡を行い、可能な限り卵巣・卵管の癒着剥離、内膜症病巣の切除、焼却を行う。
→その後積極的不妊治療(排卵誘発剤、人工授精、両者の併用)

子宮内膜症不妊患者様の治療の流れ