不妊症には⼥性側にのみ原因がある割合は約41%、男⼥ともに原因がある割合は24%、逆に男性のみ原因がある割合は24%、原因不明が約11%とされています。
したがって不妊症のうち約半数は男性側に原因があると考えられます。

男性不妊症の原因

男性不妊症の原因は3つ挙げられます。

1

  • 精巣内での精⼦を形成する過程での異常(造精機能障害)

2

  • 精巣でつくられた精⼦を外に射出する経路(精路)が閉鎖している場合(精路通過障害)

3

  • 精⼦そのものや精路に問題はないものの、精⼦を外へ射出できない場合(性機能障害)

その割合は下記の通り、圧倒的に造精機能障害が多いです。

男性不妊症の原因

1.造精機能障害 83% ┌原因不明:56.1%
├精索静脈瘤:35.9%
└その他:8.0%
2.精路通過障害  13.7%
3.性機能障害 3.3%

(平成10年度厚⽣省分担研究―⽩井班より引⽤)

造精機能障害の治療

薬物療法

造精機能障害のうち、臨床上最もポピュラーな精⼦異常は精⼦の数が少ない(乏精⼦症)です。その多くが特にその原因を見出せない特発性造精障害です。
これに対する薬物療法は多く報告されていますが、その多くは経験的に使⽤されている場合が多く、これが真に有効であるかはエビデンスに乏しいといえます。
薬物療法にて幸い妊娠にいたる症例もあるが、全ての乏精⼦症に有効とは⾔いがたいのが現状です。
従って、薬剤に過度に期待するのではなく、他の治療法(⼈⼯授精法、体外受精法、顕微授精法)の補助的なものと位置づけられます。


その他造精機能障害の⼀部の⼈に視床下部(脳内のホルモン中枢が存在する部)から性腺刺激ホルモン放出ホルモン(Gn-RH)の分泌が不⼗分なため脳下垂体から分泌され、精巣を刺激するLHとFSHの分泌が不⾜し、造精機能が障害される例もあります。
このような患者様には精巣を直接刺激するゴナドトロピン療法も有効です。
その詳細については成書をご参考にしてください。
(辻村晃他:今⽇の不妊診療『乏精⼦症に対する薬物療法』鈴⽊秋悦編、医⻭薬出版(東京)2013)

⼈⼯授精法
体外受精・顕微授精
男性不妊に対する外科的治療(精索静脈瘤に対する外科的治療)

WHOの報告によれば、健常男性の15%に精索静脈瘤が認められるといいます。
精索静脈瘤とは精索静脈の⾎流が停滞、逆流して拡張し、静脈が蛇⾏している状態です。
精索静脈瘤により造精障害、特に精⼦の運動能に低下をきたします。
精索静脈瘤の全ての男性が治療(⼿術)対象ではありません。
2年以上の不妊期間があり、妻側に異常がなく、精液所⾒に異常があり、⾃然不妊を強く希望している場合などが⼿術の対象(適応)です。
アメリカ泌尿器科学会の報告では精索静脈瘤の治療をした⼈の40%〜70%に精液所⾒の改善が⾒られ、40%に⾃然妊娠が成⽴したと報告されています。
その他外科的治療法には精管閉塞の例には⼿術による精路再建術があります。