卵子凍結(未受精卵子の凍結保存)について/ Oocyte Cryopreservation

【東京都 卵子凍結の助成金制度開始】

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未受精卵子の凍結保存とは

卵子(未受精卵)を採取し凍結しておくことで、将来に子供を持つことを希望された場合に妊娠の可能性を残すことができます。未受精卵子の凍結保存は主に以下のような場合に行われます。

社会適応

未婚の女性で、すぐに妊娠が望めない場合。女性の年齢と妊娠率は関係があり、30代後半から卵子の質の低下および卵巣機能の低下を来たし、将来子供を授かることが困難となることがあります。これに対し、卵子(未受精卵)または胚(受精卵)を採取し凍結しておくことで、将来に子供を持つことを希望された場合に妊娠の可能性を残すことができます。

医学適応
  • 女性ががんなどに罹患し、その治療中に生殖能力を損なうリスクが考えられる場合。未婚女性の場合には、抗がん剤による治療を行う前に未受精卵を凍結保存しておくことで将来、子供を授かる可能性を残しておくことが出来ます。既婚者の場合には、パートナーとの間にできた受精卵を凍結保存することもできます。医学適応の卵子凍結保存は、日本生殖医学会によって認定された登録施設でのみ、実施されています。
  • ARTによる不妊治療のために採卵を行った後にパートナーが精子を採取することが出来なかったり、精液中に精子が見つからなかった場合には、緊急処置的に未受精卵子を凍結保存することがあります。

卵子凍結保存の概要

体外受精をするときと同様に、卵巣刺激を行い、卵巣内で複数の卵子を発育させ、採卵し、未受精の状態で凍結保存します。大きく分けて3つの段階を経て行われます。

卵巣刺激

採取出来る卵の数を増やすために排卵誘発剤を使い卵巣を刺激する過程です。これを卵巣刺激(Controlled Ovarian Stimulation)と呼びます。

採卵

膣から細い針を入れ卵巣内の卵を吸い取る方法です。
これを採卵と呼びます。麻酔を使用して行います。

卵子凍結

採取された卵子が成熟卵である事を確認した後に凍結し、液体窒素タンク内に保管します。-196℃という極度の低温である液体窒素中に保管することで、細胞の機能を損なうことなく長期間にわたり保存することが可能です。

凍結保存された未受精卵子を用いた妊娠の詳細

凍結保存

上述の通り、凍結保護剤を用いて液体窒素(-196℃)内に凍結保存します。凍結胚・卵子は、凍結台帳に、氏名、保管場所、凍結胚・卵子の状態、個数などを記載し、施錠を行った上で厳重に保管されます。

凍結卵・胚の融解

妊娠をご希望される時点で、卵子を融解し、妊娠に向けての治療に使用します。凍結胚・卵子は凍結及び融解の際にダメージを受ける可能性があるため、融解した胚・卵子がすべて回復し、良い状態で成長が進むとは限りません。融解後しばらく培養し、最終的な状態を確認した後に使用の可否を判断します。

凍結卵・胚の移植

卵子を融解した後、パートナーの精子と媒精(顕微授精)を行い受精させます。受精卵が得られれば体外での培養の後、子宮に移植します。

治療の成績

凍結した卵子は、妊娠をご希望される時点で、融解し、体外受精を行い受精卵を子宮に戻します。
卵子1個あたりの妊娠率は報告に差はあるものの4-11%程度で、年齢とともに低下します。そのため、少なくとも卵子凍結保存の個数は10~15個を目標とするのがお勧めです。

対象

  • 安全に卵巣刺激、採卵がお受け頂ける健康状態の方(既往歴、現在治療中のご病気がある方はご相談ください)。採卵開始前に診察および健康状態の検査があります。
  • 治療の効果を考慮して、採卵する年齢を原則満40歳の誕生日までといたします。
  • 凍結卵子の使用およびお預かりは、安全な出産をして頂くため、満45歳の誕生日までといたします。
    (*45歳の誕生日を迎えた時点で、連絡することなく破棄となります。)

卵子凍結保存と更新あるいは廃棄について

  • 凍結保管する期間は1年間です。それ以降も継続して保管を希望される場合は、1年を満了時(保管期限当日~保管期限2ヶ月経過後まで)に必ず来院していただき、継続の手続きと費用を受付にて承ります。この場合は、1年間の保管期間が延長されます。
  • 凍結卵子の使用およびお預かりは、安全な出産をして頂くため、満45歳の誕生日までといたします。(*45歳の誕生日を迎えた時点で、連絡することなく破棄となります。)

『凍結保管期間更新』の手続き方法

更新手続きの受付期間

更新手続きの受付期間は、保管期限当日~保管期限2ヶ月後までとなります。

【ご注意】
『更新』『廃棄』いずれの場合もお手続きが必要ですが、特に期限を過ぎての更新申請はお受けできません。更新をご希望される場合には、忘れずに必ず期限内にお手続きをしてください。凍結保管期限を過ぎますと、更新の手続きがない場合、廃棄の意志と判断させていただきます。当院から連絡はいたしません。

『更新』のお手続きの方法
  • ◇「申請書」(保管継続の欄に署名・捺印してください)と「更新料」を一緒にご持参ください。
  • ◇申請書には捺印と日付をお忘れなく記入してください。
  • ◇署名・捺印は必ずご本人が直筆にて署名し、ご自身の手により捺印をお願いします。
  • ◇更新料と申請書を別々にお受けすることはできません。
  • ◇原則として期限を過ぎての手続きはできません。また期限を過ぎた場合に「まだ凍結胚は廃棄されずに残っているか」など個別のお問い合わせにはお答えいたしかねます。
    ※期限内に凍結保管期限更新手続が完了せず、すでに凍結卵子が廃棄処理済みであった場合の異議申し立ては受け付けません。
  • ◇申請書を紛失された場合は、当院のホームページからダウンロードしてください。ダウンロードできない場合は、当院へご連絡いただくか、ご来院ください。
  • ◇凍結期限と治療予定周期(胚の解凍とその移植)が近い場合、凍結期限を過ぎる前に、来院の上ご相談ください。また、転居される場合(海外を含む)は必ずご連絡ください。
保存管理には万全を期しますが、凍結や融解のストレスにより卵子が著しく変性したり死滅することが一定の割合で起こります。そのような場合、胚移植はできません。また天災・火災・事故等不可抗力による場合は、保管料の返金はいたしかねます。

費用について

採卵 120,000円
(卵子が1個も得られなかった場合は5万円)
静脈麻酔 33,000円(麻酔希望者のみ)
卵子凍結 1本目:55,000円(容器1本で最大3個の卵子が同時に保管可能)
2本目以降は1本につき15,000円の加算
感染症検査 6,600円
AMH検査 6,600円
排卵誘発 約33,000~150,000円
凍結延長
(2年目以降)
22,000円/年(保管本数に関わらず)

※ 将来、顕微授精に使用する場合には顕微授精代および卵子融解代がかかります。 ※ 東京都では卵子凍結に係る費用への助成金制度や、凍結卵子を使用した卵子融解、生殖補助医療へも助成金制度があります。