不妊治療成績/ Data

妊娠に結び付いた治療法の分析

2021年の一年間に当院で妊娠された方は 185名です。治療法別の内訳を調べたところ、 タイミング方が15%、AIHが10%そしてARTが最も多く75%でした。

2021年の治療法別妊娠者数の内訳

ART(体外受精・顕微授精・凍結融解胚移植)の成績

1.当クリニックのARTの治療成績

ARTを開始した2014年から2020年までの治療成績と最新の2021年1年間の治療成績を示します。
標準的には治療成績は胚移植当たりの妊娠率( /胚移植)で表されます。何周期の移植を行ってそのうちの何周期に妊娠が成立したかということを表しています。
また、移植のほとんどは、一般的に治療成績が良好とされている凍結融解胚移植を行っています。

2014年~2021年
融解胚移植の臨床成績

年齢 移植凍結胚 移植回数 妊娠数 妊娠率 流産率
~39歳 初期胚 624 189 30.3% 19.2%
胚盤胞 1099 518 47.1% 21.3%
40歳~ 初期胚 356 54 15.2% 38.5%
胚盤胞 279 81 29.0% 28.2%

最も新しいデータを示します。

2021年
媒精方法別の採卵周期数(卵子凍結5件は除く)

治療法 採卵周期数 凍結・移植に至った周期数(%)
IVF 103 88 (85.4)
ICSI 116 105 (90.5)
Split-ICSI 25 24 (96.0)
採卵のみ 9 -
合計 253 217 (85.8)

2021年の採卵周期における妻の年齢分布

融解胚移植の臨床成績

年齢 移植凍結胚 移植回数 妊娠数 妊娠率 流産率*
~39歳 初期胚 63 19 30.2% 5.3%
胚盤胞 198 94 47.5% 19.1%
40歳~ 初期胚 64 8 12.5% 25.0%
胚盤胞 61 18 29.5% 22.2%

*2022年1月末の時点の数値であり、後期流産などで数値が変動する可能性あり。

これを要約しますと30歳代までの若齢の症例においては初期胚移植での妊娠率が 30.2%、胚盤胞移植では47.5%でした。また流産率はそれぞれ5.3%および19.1%でした。
一方、40歳以上の高齢の症例では初期胚移植での妊娠率が12.5%、胚盤胞移植では29.5%とやや低下します。また高齢になると一般的に流産率が 30%以上へと上昇しますが、これは主に胚の染色体異常の発生頻度の上昇によるものとされています。

2021年の楠原ウィメンズクリニックのART治療成績
(凍結融解胚移植周期)

~39歳

40歳~

2.日本全国の成績

ARTを実施している医療機関は治療した症例の結果を一例毎に日本産婦人科学会に報告する義務があります。学会はその結果を集計し2年後に発表をしております。
グラフは全国の集計した2019年の最新結果です。
横軸は患者さんの年齢です。縦軸は妊娠率です。
妊娠率の出し方にはいろいろあります。
①移植あたりの妊娠率(/総 ET・グラフ最上段青バー)
②治療当たりの妊娠率(/総治療 2段目赤バー)
③流産をまぬがれて出産までできた出生率(生産率/総治療 3段目緑バー)

このうち①の1回の移植あたりどのくらい妊娠するかという結果が妊娠率としてよく用いられます。
グラフから明らかになるように加齢に伴って妊娠率が低下することが分かります。あえて区切れば37~38歳頃から低下します。
しかし20代~30代の前半では1回の移植あたり40~45%の方が妊娠に成功します。
逆に40歳以上の患者さんでも移植あたり20~25%の妊娠が得られます。
加齢による妊娠率の低下は主に卵の質の低下(染色体異常の増加)と獲得できる卵の数が低下することが原因です。
もうひとつ気になるのは流産率です。グラフ紫バーで示した流産率は30歳前半位までは10~15%くらいで自然妊娠の流産率よりやや高い頻度です。
しかし38歳頃から流産率はやや上昇し、40歳では25~30%に上昇し、40歳を超えると35~40%に上昇します。これも卵の染色体異常が高くなるためです。

ART妊娠率・生産率・流産率 2019