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不妊治療の助成金はまだ使える?保険適用後の支援制度と申請の流れを徹底解説

治療を検討するとき、費用と並んで気になるのが、利用できる公的な支援ではないでしょうか。かつては国の助成制度が広く知られていましたが、保険適用が始まってから状況が変わり、「結局いま何が使えるのか分かりにくい」と感じている方も多いはずです。

先に結論をお伝えすると、かつて国が行っていた助成制度は終了したものの、不妊治療の経済的負担を軽くする仕組みは今もしっかり残っています。現在の支援は、保険適用、高額療養費制度、そして自治体ごとの助成という3つの層で成り立っているといえるでしょう。とくに自治体の助成は、お住まいの地域によって内容が大きく変わるため、自分の場合に何が使えるかを正しく押さえておくことが、無駄なく支援を受けるための鍵になります。

この記事では、保険適用後に変わった助成金制度の現状を整理し、自治体助成の中身、申請の流れ、見落としやすい注意点までをお伝えします。

この記事の監修者楠原ウィメンズクリニック院長 楠原 淳子生殖専門医 / 医学博士東京慈恵会医科大学の産婦人科生殖班にて診療と教育に従事し、米国ノースウェスタン大学院でReproductive Scienceを修めた生殖医療の専門医です。「年齢における卵子の質の変化」をテーマとした研究により博士号を取得しています。学歴東京都出身/白百合学園高校 卒業/杏林大学 医学部卒業/アメリカ ノースウェスタン大学院 Master of Science of Reproductive Science卒業経歴2006年 杏林大学 医師初期研修終了2006年 東京慈恵会医科大学 産婦人科入局2010年 産婦人科専門医取得後、東京慈恵会医科大学 助教(以後、産婦人科生殖班にて診療と教育に従事)2016年 米国ノースウェスタン大学院にて不妊治療の基礎医学から社会背景まで学ぶ2018年 修士号を取得し卒業2019年 東京慈恵会医科大学 産婦人科 助教および副医局長として勤務(“年齢における卵子の質の変化”をテーマとした研究論文にて博士号取得)2022年 楠原ウィメンズクリニックにて勤務所属学会日本産婦人科学会認定専門医 研修指導医/日本生殖医学会会員 生殖専門医/日本がん・生殖医学会認定 生殖医療ナビゲーター/日本産婦人科遺伝子診療学会会員

自費診療の支援から、保険診療へ ー3つの支援ー

まず押さえておきたいのが、「国の助成金が終わった」という事実の正確な意味です。

かつて国が実施していた不妊に悩む方への特定治療支援事業は、2022年4月に体外受精や顕微授精が保険適用となったことに伴い、2023年3月末で終了しました。「助成金がなくなった」という話だけが先行して不安に感じる方もいますが、これは支援が消えたのではなく、支援の中心が「助成」から「保険」へ移ったと捉えるのが正確です。

現在、不妊治療の費用負担は3つの層で軽減される仕組みになっています。第一の層にあたるのが保険適用でしょう。体外受精や顕微授精、採卵、胚移植などの基本的な治療が保険の対象となり、窓口負担は原則3割に抑えられています。第二の層にあたるのが高額療養費制度です。1か月の医療費の自己負担が一定額を超えた場合、超えた分が払い戻されるため、所得に応じて月の負担に上限が設けられます。そして第三の層が、自治体による助成です。

ここで多くの方が混乱するのが、「保険が使えるなら助成金はもう関係ないのでは」という点でしょう。実は、保険適用と自治体助成は守備範囲が異なります。保険でカバーされない部分を補うのが自治体助成の役割であり、両者は組み合わせて使うものだと理解しておくと、制度の全体像がすっきり見えてきます。

<関連記事>不妊治療の保険適用はどこまで?対象範囲と条件の考え方を徹底解説

自治体の助成は「先進医療」が中心

保険診療となり3割負担となった今、費用面で大きな意味を持つのが自治体独自の助成です。その多くが対象としているのが、先進医療と呼ばれる治療です。

先進医療とは、有効性や安全性について一定の評価を受けながらも、まだ保険適用には至っていない先進的な医療技術を指します。不妊治療では、タイムラプスや子宮内膜スクラッチ、PICSI、子宮内フローラ検査などが該当します。これらは保険診療と併用できるものの、先進医療部分の費用は全額自己負担となるため、ここが家計の重荷になりやすい部分でしょう。多くの自治体は、まさにこの先進医療の自己負担に対して助成を行っています。

助成の中身は自治体によってかなり差が出てきます。たとえば東京都の特定不妊治療費(先進医療)助成事業では、保険診療と併せて実施した先進医療の費用に対し、1回の治療につき15万円を上限に助成しているとされています。一方、福岡県では先進医療費の7割(上限5万円)、兵庫県では1クールあたり定額3万円に加えて通院交通費の一部、というように、上限額も算定方法も地域ごとに変わってくるのが実情でしょう。「助成金」とひとくくりにせず、自分の住む自治体の制度を個別に確認することが欠かせません。

ここで知っておきたいのが、都道府県と市区町村で別々に助成を設けている場合があるという点です。都道府県の助成に、お住まいの市区町村がさらに上乗せの助成を行っているケースもあり、両方を申請できることもあるでしょう。「県の制度を見て終わり」にせず、市区町村のホームページもあわせて確認しておくと、受けられる支援を取りこぼさずに済みます。

楠原ウィメンズクリニックでは、治療にかかる費用や利用できる制度について、お一人おひとりの状況に合わせてご案内しています。費用面の不安がある方も、お気軽にご相談ください。

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助成金を受け取るまでの流れ

助成金は、申請して初めて受け取れるものです。治療を受けただけで自動的に振り込まれるわけではないため、流れを理解しておくことが大切になります。

おおまかな流れは、まず自分の自治体の助成制度の内容を確認することから始まります。対象となる治療、所得や年齢の要件、上限額、申請期限を把握したうえで、対象として認められた医療機関で治療を受けていきます。治療が終わったら、医療機関に受診等証明書を発行してもらい、領収書やその他の必要書類とあわせて自治体へ提出する流れになるでしょう。書類の審査を経て、問題がなければ後日、指定した口座に助成金が振り込まれます。

この流れの中でとくに注意したいのが、申請期限です。多くの自治体では、治療が終了した日や年度末を基準に申請期限が定められており、期限を過ぎると助成を受けられなくなります。「あとでまとめて申請しよう」と先延ばしにしているうちに期限を逃すケースは少なくありません。治療が一段落したら、早めに必要書類をそろえて申請に動くことをおすすめします。

書類面では、医療機関が発行する受診等証明書が要となります。発行に時間がかかることもあるため、申請を考えている場合は治療中から医療機関に伝えておくと、手続きがスムーズに進みます。

助成金で見落としやすい注意点

助成金を最大限に活用するには、制度の細かな条件を理解しておくことが欠かせません。ここを押さえておくと、想定外の「対象外」を避けられます。

最も誤解されやすいのが、助成の対象範囲です。多くの自治体の助成は、あくまで保険診療と併用した先進医療の費用を対象としており、体外受精や顕微授精を全額自費で受けた場合や、人工授精などの一般不妊治療は対象外となることが一般的です。「不妊治療なら何でも助成される」と思い込んでいると、申請の段階で対象外と分かることもあるため、自分の受ける治療が助成の対象に含まれるかを事前に確認しておく必要があります。

もう一つ注意したいのが、高額療養費制度との関係です。自治体によっては、高額療養費として払い戻された金額を差し引いたうえで助成額を計算する場合もあるでしょう。たとえば保険診療の自己負担分から高額療養費の支給分を引いた残りが助成対象になる、といった調整が入ることがあります。複数の制度が重なるときは、それぞれが互いにどう影響するかを意識しておくと、受け取れる金額の見通しを立てやすくなります。

加えて、保険適用そのものには年齢と回数の上限があることも知っておきたい点です。体外受精・顕微授精の保険適用は、治療開始時の年齢が40歳未満であれば1子につき通算6回まで、40歳以上43歳未満であれば3回までと定められています。助成の回数や条件もこの保険の枠組みと連動していることが多いため、年齢や治療回数によって使える支援が変わる可能性を頭に入れておくとよいでしょう。

なお、こうした制度は年度ごとに見直されることがあり、対象となる先進医療の種類や助成額が変わる場合もあります。実際に、自治体によっては保険診療の自己負担分まで助成対象を広げる動きも出てきました。申請の前には、必ず最新の情報をお住まいの自治体のホームページで確認することが大切です。

楠原ウィメンズクリニックで治療と費用のご相談を

不妊治療の助成金は、国の制度が終了した後も、保険適用・高額療養費制度・自治体助成という3つの層で経済的な支えとして残っています。とくに自治体助成は地域差が大きく、先進医療を中心に、都道府県と市区町村の両方から支援を受けられる場合もあるでしょう。大切なのは、自分の住む地域で何が使えるのかを正しく把握し、期限内に確実に申請することにあります。

楠原ウィメンズクリニックは、1996年の開業以来、多くの不妊患者の診療にあたってきた銀座のクリニックです。日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医・日本生殖医学会生殖医療専門医が在籍し、治療の内容はもちろん、かかる費用や利用できる制度についても、お一人おひとりの状況に合わせて丁寧にご案内してまいりました。費用面の不安から治療に踏み出せずにいる方にも、見通しを持って進められるようサポートします。

銀座駅A1出口すぐという好アクセスに加え、平日夜20時までの診療や土曜・日曜の診療も実施しているため、仕事と両立しながら通いたい方にも通院しやすい環境を整えています。助成金や費用について知りたい方も、まずは一度ご相談ください。

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参考文献

厚生労働省「不妊に悩む方への特定治療支援事業」東京都福祉局「特定不妊治療費(先進医療)助成事業」こども家庭庁「不妊治療に関する支援について」

不妊症治療ガイド(参考情報サイト)