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体外受精の成功率と年齢別データは?妊娠率を高めるための考え方
体外受精を検討している方にとって、「成功率はどれくらいなのか」は最初に知りたい情報ではないでしょうか。
結論から言えば、体外受精の成功率は年齢によって大きく異なり、一律の数字で語ることはできません。
日本産科婦人科学会が公表した「ARTデータブック2022」によると、治療開始周期あたりの生産率(実際に出産に至る確率)は32歳まで約22〜23%で推移しますが、33歳から徐々に低下し始め、37歳以降は年間約2%ずつ急激に下がっていきます。
2022年には日本で77,206人がART(生殖補助医療)を介して誕生しており、およそ10人に1人の子どもが体外受精や顕微授精によって生まれている計算になります。
この記事では、年齢別の成功率データを正しく読み解いたうえで、成功率を左右する要因や妊娠率を高めるために知っておきたいポイントについて整理します。
「成功率」の定義を正しく理解する
体外受精の成功率を見る際、まず注意したいのが「何を分母・分子にしているか」によって数字が大きく変わるという点です。
クリニックが公表する成功率には、「胚移植あたりの妊娠率」「治療開始周期あたりの妊娠率」「治療開始周期あたりの生産率」など、複数の算出方法があります。
たとえば、胚移植あたりの妊娠率は高めの数字が出やすい一方、治療開始周期あたりの生産率は採卵がキャンセルになったケースや流産も反映されるため、より現実に近い数字になるでしょう。
ここで見落としがちなのが、「妊娠率」と「生産率」の違いです。
妊娠率は胎嚢が確認された時点でカウントされるため、その後に流産した場合も妊娠率には含まれます。
一方、生産率は実際に出産に至ったケースのみを反映した数字であり、治療の最終的な成果を測る指標としてはより信頼性が高いといえるでしょう。
クリニックの実績を比較する際は、どの指標で算出された数字なのかを確認することが大切です。
年齢別に見る体外受精の成功率
日本生殖医学会が公開した2022年のデータに基づき、年齢別の治療成績を見ていきましょう。
なお、以下の数字は全国の登録施設から報告されたデータを集計したもので、個々のクリニックの成績とは異なる場合があります。
20代〜32歳
治療開始周期あたりの生産率は約22〜23%で、この年齢帯ではほぼ横ばいの推移を示しています。
卵子の質・量ともに良好な時期であり、1回の採卵で多くの成熟卵が得られやすいのがこの年齢層の特徴です。
胚移植あたりの妊娠率で見ると、25〜29歳では約40%以上という報告もあります。
20代で体外受精を受ける方は全体から見ると少数派ですが、卵管因子や男性不妊など明確な原因がある場合は、年齢が若くても早期に体外受精を選択するケースが増えてきました。
若い年齢で採卵した卵子は胚盤胞(着床直前まで発育した胚)に育つ確率も高く、1回の採卵で複数の良好胚を凍結保存できる可能性が高いのも利点です。
33歳〜36歳
33歳を境に生産率は徐々に低下し始め、1歳あたり約1%ずつ下がっていきます。
まだ比較的良好な成績が期待できる年齢帯ではありますが、35歳を過ぎると卵子の染色体異常の頻度が増加し始めるため、治療開始は早いほうが有利です。
流産率もこの年齢帯から上昇傾向に入り、35歳時点で約21.5%というデータが報告されています。
体外受精の治療に入る前にタイミング法や人工授精を半年以上試みている方も多い年齢帯ですが、35歳を超えてからのステップアップは、月単位での卵巣機能の低下を考慮しましょう。
「あと数回人工授精を試してから」と先延ばしにする間にも、採卵で得られる卵子の質は徐々に変化していきます。
37歳〜39歳
37歳を境に下降率が加速し、1歳あたり約2%ずつ低下するフェーズに入ります。
39歳での治療開始周期あたりの生産率は12.7%、流産率は30.3%。
つまり、治療を開始しても約8人に1人しか出産に至らない計算です。
この年齢帯では、1回の採卵で得られる卵子の数自体が減少する傾向にあります。
タイミング法や人工授精を長期間続けてからのステップアップでは、貴重な時間を失うリスクがある年齢帯でもあるため、検査結果次第では初診時から体外受精を提案されるケースも珍しくありません。
40歳以上
40歳での生産率は10.8%、流産率は32.6%。
43歳になると生産率は4.2%、流産率は47.3%にまで上昇し、出産に至る確率は極めて厳しくなります。
保険適用の上限が43歳未満と定められている背景にも、こうしたデータが反映されているためです。
ただし、40歳以上であっても体外受精で出産に至る方は楠原ウィメンズクリニックでも多くいらっしゃいます。
「何歳だから無理」と一律に判断できるものではありません。
40歳を超えてからの治療では、1回ごとの結果に一喜一憂せず、医師と綿密にコミュニケーションをとりながら治療計画を柔軟に修正していく姿勢が求められます。
大切なのは、年齢に応じた現実的な見通しを持ちながら、最善の治療戦略を組み立てることでしょう。
楠原ウィメンズクリニックでは、お一人おひとりの年齢や検査結果に基づいた治療計画をご提案しています。成功率のデータだけでは判断できない個別の状況について、まずはご相談ください。
▶ 楠原ウィメンズクリニックへのお問い合わせはこちらから
凍結胚移植と新鮮胚移植で成功率は変わるのか
体外受精の成功率を左右する大きな要素の一つが、胚の移植方法です。
採卵周期に胚を凍結せずに移植する新鮮胚移植と、一度凍結をして次の周期以降に胚移植をする凍結胚移植があります。
2022年のARTデータブックによると、凍結融解胚移植の妊娠率は胚移植あたり37.8%であるのに対し、新鮮胚移植は21.9%と、約16%もの差が生じています。
この差が生まれる理由は、主に子宮内環境の違いにあります。
新鮮胚移植では、採卵のための卵巣刺激によってホルモンバランスが乱れた状態のまま移植を行うため、子宮内膜が着床に最適な状態でないケースもあります。
一方、凍結胚移植では採卵後にいったん身体を休め、ホルモン環境が整った次の周期以降に移植を行うため、着床しやすい条件が整いやすいのです。
凍結胚移植の方法はホルモン補充療法併用の胚移植と自分の排卵周期に合わせた自然周期胚移植があります。
日本ではもともと凍結胚移植の件数が多く行われていましたが、近年では産科的な合併症のリスクがより低い自然周期移植も選ばれています。
加えて、凍結技術そのものの進歩も見逃せません。
2008年頃に普及した超急速ガラス化保存法(Vitrification法)は、従来の緩慢凍結法に比べて胚へのダメージが大幅に軽減され、融解後の生存率も向上しました。
楠原ウィメンズクリニックでもVitrification法を採用しており、培養士が毎日の胚の状態を医師に報告する体制のもとで、胚の質を最大限に維持する管理を行っています。
現在では出産に至る治療の9割以上が凍結融解胚移植による妊娠・出産であり、凍結胚移植が体外受精の主流となっていることを知っておくとよいでしょう。
成功率を左右する5つの要因
体外受精の成功率は、年齢だけで決まるわけではありません。同じ年齢でも個人差が大きく出る理由として、以下の要因が挙げられます。
卵巣予備能(AMH値)
AMH(抗ミュラー管ホルモン)は、卵巣に残っている卵子の数の目安を示す指標です。
AMH値が低い場合、1回の採卵で得られる卵子の数が限られるため、良好な胚を確保するまでに複数回の採卵が必要になることがあります。
ただし、AMH値は卵子の「量」の指標であり、「質」を直接反映するものではない点を理解しておく必要があるでしょう。
精子の質
体外受精の成功率は、精子の状態によっても左右されます。
精子の数や運動率が低い場合、通常の体外受精(ふりかけ法)では受精率が低下する可能性があるため、顕微授精(ICSI)が選択されることも少なくありません。
楠原ウィメンズクリニックでは男性不妊にも対応しており、精液検査から治療方針の相談まで同じクリニックで完結できる体制を整えています。
子宮内膜の状態
胚が着床するためには、子宮内膜が適切な厚さと状態であることが求められます。
一般的に、子宮内膜の厚さが8mm以上であることが着床に望ましいとされており、薄い場合はホルモン補充や投薬で改善を図ることがあるでしょう。
胚のグレード
培養した胚の質(グレード)は、妊娠率に大きく影響する要素の一つです。
Gardner分類で評価される胚盤胞のグレードは、内部細胞塊と栄養外胚葉の形態で判定されますが、グレードが高い胚ほど妊娠率が高い傾向にあることが知られています。
ただし、グレードが低い胚でも妊娠に至るケースは珍しくなく、あくまで「確率の目安」として捉えることが適切でしょう。
生活習慣
喫煙、過度な飲酒、睡眠不足、極端な体重の増減は、卵子・精子の質に影響を与えるとされています。
特に喫煙は卵巣機能の低下との関連が指摘されており、治療成績にも影響を及ぼす可能性があるため、治療開始前から生活習慣の見直しに取り組むことが望ましいでしょう。
体外受精は何回目で成功するのか
「体外受精は何回目で成功するのか」という疑問は、治療を始める前に多くの方が抱く関心事です。
一般的には、3〜4回の胚移植で累積妊娠率が高まるとされており、ある報告では30代前半の方が3回の採卵を行った場合、累積で70〜80%程度の妊娠率が期待できるとの結果が示されています。
ただし、年齢が上がるにつれて1回あたりの成功確率が低下するため、必要な回数は増える傾向にあるでしょう。
ここで重要なのは、「回数を重ねれば必ず成功する」わけではないという点です。
5〜6回以上の胚移植を行っても妊娠に至らない「反復着床不全」の場合は、子宮内環境や免疫因子の精密検査を行い、治療方針を見直す必要が出てきます。
回数だけにとらわれるのではなく、各周期の結果を丁寧に分析し、次の治療に活かしていく姿勢が大切でしょう。
また、体外受精を何回まで続けるかという問題は、医学的な判断だけでなく、経済的な負担や精神的な消耗とも密接に関わります。
2022年4月から保険適用が拡大されたことで治療へのハードルは下がりましたが、胚移植の回数には保険上の制限(40歳未満は通算6回、40〜43歳未満は通算3回)があるため、限られた回数の中で最大限の成果を引き出す治療計画が求められます。
体外受精の費用と保険適用
2022年4月の制度改正により、体外受精・顕微授精を含む生殖補助医療が保険適用の対象になりました。
治療開始時点で女性が43歳未満であること、胚移植の回数制限(40歳未満は6回、40〜43歳未満は3回)を満たすことが条件となっています。
保険適用により、体外受精1周期あたりの自己負担額は3割負担となり、さらに高額療養費制度を活用すれば月額の自己負担に上限が設けられるため、経済的な負担はかつてと比べて大幅に軽減されました。
ただし、保険診療に自費診療(先進医療を除く)を併用すると全額自己負担になる「混合診療の禁止」には注意が必要でしょう。
楠原ウィメンズクリニックは生殖補助医療実施医療機関として認定されており、保険適用での体外受精に対応しているほか、先進医療の併用にも対応しています。
都内在住の方は、先進医療に係る費用の一部に助成金が支給される制度も利用可能です。
体外受精と顕微授精で成功率に差はあるのか
体外受精を検討する際に「顕微授精のほうが成功率は高いのか」という疑問を持つ方は少なくないでしょう。
妊娠率のデータから言えば、体外受精(ふりかけ法)と顕微授精(ICSI)で妊娠率に大きな差はないとされています。
両者の違いは受精の方法にあり、ふりかけ法では卵子の周囲に精子を振りかけて自然に受精を促す一方、顕微授精では1個の精子を直接卵子に注入するという違いがあります。
顕微授精は主に精子の状態が良くない場合(精子の数が極端に少ない、運動率が低い、過去のふりかけ法で受精が成立しなかった場合など)に選択されるもので、「より高度だから成功率が高い」というわけではありません。
受精方法の選択は、あくまで精子と卵子の状態に基づいた医学的判断であり、成功率を上げるための「アップグレード」ではないことを理解しておきたいところです。
楠原ウィメンズクリニックでは、体外受精・顕微授精の両方に対応しており、採卵で得られた卵子と精子の状態を培養士が評価したうえで、最適な受精方法を選択する体制をとっています。
成功率を見るときに陥りやすい落とし穴
体外受精の成功率を調べる際、いくつかの点に注意が必要です。
まず、クリニック間の実績比較には慎重さが求められます。
患者層(年齢構成や不妊原因の内訳)が異なるクリニック同士の数字を単純比較しても、意味のある結論は導けません。
難症例を多く受け入れているクリニックは全体の数字が低くなりやすく、逆に若い患者が多いクリニックは高い数字が出やすい傾向があるためです。
また、「妊娠率」の数字だけに注目して「生産率」や「流産率」を見ていないケースもよくある落とし穴です。
妊娠が確認されても、その後に流産する確率は年齢が上がるほど高くなるため、妊娠率だけで治療の成果を判断するのは不十分といえるでしょう。
さらに、インターネット上の体験談や口コミは個別の事例に過ぎず、統計的なデータとは性質が異なります。
「40代で1回目の体外受精で成功した」という体験談は事実かもしれませんが、同年齢の方全員に同じ結果が期待できるわけではありません。
データに基づいた冷静な判断と、自分自身の検査結果に即した個別の治療計画を、信頼できる医師とともに立てることが何より重要です。
楠原ウィメンズクリニックで体外受精のご相談を
体外受精の成功率は年齢や個人の状態によって大きく異なり、全国平均の数字だけでは自分自身の可能性を正確に見積もることはできません。
大切なのは、ご自身の検査データをもとに、どの治療法が最適か、どのようなスケジュールで進めるべきかを、経験豊富な医師と一緒に考えることでしょう。
楠原ウィメンズクリニックは、1996年の開業以来、多くの不妊患者の診療にあたってきた銀座のクリニックです。
日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医・日本生殖医学会生殖医療専門医が在籍し、体外受精・顕微授精を含む幅広い生殖補助医療に対応しています。
培養士が毎日の培養状態を医師に報告する連携体制により、一人ひとりの胚に合わせた治療を追求しています。
銀座駅A1出口すぐの好アクセスで、平日夜20時までの診療に対応可能です。
体外受精セミナーも定期開催しており、治療の流れや費用について事前に詳しく知ることができます。
▶お問い合わせはこちら
不妊症治療ガイド(参考情報サイト)
結論から言えば、体外受精の成功率は年齢によって大きく異なり、一律の数字で語ることはできません。
日本産科婦人科学会が公表した「ARTデータブック2022」によると、治療開始周期あたりの生産率(実際に出産に至る確率)は32歳まで約22〜23%で推移しますが、33歳から徐々に低下し始め、37歳以降は年間約2%ずつ急激に下がっていきます。
2022年には日本で77,206人がART(生殖補助医療)を介して誕生しており、およそ10人に1人の子どもが体外受精や顕微授精によって生まれている計算になります。
この記事では、年齢別の成功率データを正しく読み解いたうえで、成功率を左右する要因や妊娠率を高めるために知っておきたいポイントについて整理します。
「成功率」の定義を正しく理解する
体外受精の成功率を見る際、まず注意したいのが「何を分母・分子にしているか」によって数字が大きく変わるという点です。
クリニックが公表する成功率には、「胚移植あたりの妊娠率」「治療開始周期あたりの妊娠率」「治療開始周期あたりの生産率」など、複数の算出方法があります。
たとえば、胚移植あたりの妊娠率は高めの数字が出やすい一方、治療開始周期あたりの生産率は採卵がキャンセルになったケースや流産も反映されるため、より現実に近い数字になるでしょう。
ここで見落としがちなのが、「妊娠率」と「生産率」の違いです。
妊娠率は胎嚢が確認された時点でカウントされるため、その後に流産した場合も妊娠率には含まれます。
一方、生産率は実際に出産に至ったケースのみを反映した数字であり、治療の最終的な成果を測る指標としてはより信頼性が高いといえるでしょう。
クリニックの実績を比較する際は、どの指標で算出された数字なのかを確認することが大切です。
年齢別に見る体外受精の成功率
日本生殖医学会が公開した2022年のデータに基づき、年齢別の治療成績を見ていきましょう。
なお、以下の数字は全国の登録施設から報告されたデータを集計したもので、個々のクリニックの成績とは異なる場合があります。
20代〜32歳
治療開始周期あたりの生産率は約22〜23%で、この年齢帯ではほぼ横ばいの推移を示しています。
卵子の質・量ともに良好な時期であり、1回の採卵で多くの成熟卵が得られやすいのがこの年齢層の特徴です。
胚移植あたりの妊娠率で見ると、25〜29歳では約40%以上という報告もあります。
20代で体外受精を受ける方は全体から見ると少数派ですが、卵管因子や男性不妊など明確な原因がある場合は、年齢が若くても早期に体外受精を選択するケースが増えてきました。
若い年齢で採卵した卵子は胚盤胞(着床直前まで発育した胚)に育つ確率も高く、1回の採卵で複数の良好胚を凍結保存できる可能性が高いのも利点です。
33歳〜36歳
33歳を境に生産率は徐々に低下し始め、1歳あたり約1%ずつ下がっていきます。
まだ比較的良好な成績が期待できる年齢帯ではありますが、35歳を過ぎると卵子の染色体異常の頻度が増加し始めるため、治療開始は早いほうが有利です。
流産率もこの年齢帯から上昇傾向に入り、35歳時点で約21.5%というデータが報告されています。
体外受精の治療に入る前にタイミング法や人工授精を半年以上試みている方も多い年齢帯ですが、35歳を超えてからのステップアップは、月単位での卵巣機能の低下を考慮しましょう。
「あと数回人工授精を試してから」と先延ばしにする間にも、採卵で得られる卵子の質は徐々に変化していきます。
37歳〜39歳
37歳を境に下降率が加速し、1歳あたり約2%ずつ低下するフェーズに入ります。
39歳での治療開始周期あたりの生産率は12.7%、流産率は30.3%。
つまり、治療を開始しても約8人に1人しか出産に至らない計算です。
この年齢帯では、1回の採卵で得られる卵子の数自体が減少する傾向にあります。
タイミング法や人工授精を長期間続けてからのステップアップでは、貴重な時間を失うリスクがある年齢帯でもあるため、検査結果次第では初診時から体外受精を提案されるケースも珍しくありません。
40歳以上
40歳での生産率は10.8%、流産率は32.6%。
43歳になると生産率は4.2%、流産率は47.3%にまで上昇し、出産に至る確率は極めて厳しくなります。
保険適用の上限が43歳未満と定められている背景にも、こうしたデータが反映されているためです。
ただし、40歳以上であっても体外受精で出産に至る方は楠原ウィメンズクリニックでも多くいらっしゃいます。
「何歳だから無理」と一律に判断できるものではありません。
40歳を超えてからの治療では、1回ごとの結果に一喜一憂せず、医師と綿密にコミュニケーションをとりながら治療計画を柔軟に修正していく姿勢が求められます。
大切なのは、年齢に応じた現実的な見通しを持ちながら、最善の治療戦略を組み立てることでしょう。
楠原ウィメンズクリニックでは、お一人おひとりの年齢や検査結果に基づいた治療計画をご提案しています。成功率のデータだけでは判断できない個別の状況について、まずはご相談ください。
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凍結胚移植と新鮮胚移植で成功率は変わるのか
体外受精の成功率を左右する大きな要素の一つが、胚の移植方法です。
採卵周期に胚を凍結せずに移植する新鮮胚移植と、一度凍結をして次の周期以降に胚移植をする凍結胚移植があります。
2022年のARTデータブックによると、凍結融解胚移植の妊娠率は胚移植あたり37.8%であるのに対し、新鮮胚移植は21.9%と、約16%もの差が生じています。
この差が生まれる理由は、主に子宮内環境の違いにあります。
新鮮胚移植では、採卵のための卵巣刺激によってホルモンバランスが乱れた状態のまま移植を行うため、子宮内膜が着床に最適な状態でないケースもあります。
一方、凍結胚移植では採卵後にいったん身体を休め、ホルモン環境が整った次の周期以降に移植を行うため、着床しやすい条件が整いやすいのです。
凍結胚移植の方法はホルモン補充療法併用の胚移植と自分の排卵周期に合わせた自然周期胚移植があります。
日本ではもともと凍結胚移植の件数が多く行われていましたが、近年では産科的な合併症のリスクがより低い自然周期移植も選ばれています。
加えて、凍結技術そのものの進歩も見逃せません。
2008年頃に普及した超急速ガラス化保存法(Vitrification法)は、従来の緩慢凍結法に比べて胚へのダメージが大幅に軽減され、融解後の生存率も向上しました。
楠原ウィメンズクリニックでもVitrification法を採用しており、培養士が毎日の胚の状態を医師に報告する体制のもとで、胚の質を最大限に維持する管理を行っています。
現在では出産に至る治療の9割以上が凍結融解胚移植による妊娠・出産であり、凍結胚移植が体外受精の主流となっていることを知っておくとよいでしょう。
成功率を左右する5つの要因
体外受精の成功率は、年齢だけで決まるわけではありません。同じ年齢でも個人差が大きく出る理由として、以下の要因が挙げられます。
卵巣予備能(AMH値)
AMH(抗ミュラー管ホルモン)は、卵巣に残っている卵子の数の目安を示す指標です。
AMH値が低い場合、1回の採卵で得られる卵子の数が限られるため、良好な胚を確保するまでに複数回の採卵が必要になることがあります。
ただし、AMH値は卵子の「量」の指標であり、「質」を直接反映するものではない点を理解しておく必要があるでしょう。
精子の質
体外受精の成功率は、精子の状態によっても左右されます。
精子の数や運動率が低い場合、通常の体外受精(ふりかけ法)では受精率が低下する可能性があるため、顕微授精(ICSI)が選択されることも少なくありません。
楠原ウィメンズクリニックでは男性不妊にも対応しており、精液検査から治療方針の相談まで同じクリニックで完結できる体制を整えています。
子宮内膜の状態
胚が着床するためには、子宮内膜が適切な厚さと状態であることが求められます。
一般的に、子宮内膜の厚さが8mm以上であることが着床に望ましいとされており、薄い場合はホルモン補充や投薬で改善を図ることがあるでしょう。
胚のグレード
培養した胚の質(グレード)は、妊娠率に大きく影響する要素の一つです。
Gardner分類で評価される胚盤胞のグレードは、内部細胞塊と栄養外胚葉の形態で判定されますが、グレードが高い胚ほど妊娠率が高い傾向にあることが知られています。
ただし、グレードが低い胚でも妊娠に至るケースは珍しくなく、あくまで「確率の目安」として捉えることが適切でしょう。
生活習慣
喫煙、過度な飲酒、睡眠不足、極端な体重の増減は、卵子・精子の質に影響を与えるとされています。
特に喫煙は卵巣機能の低下との関連が指摘されており、治療成績にも影響を及ぼす可能性があるため、治療開始前から生活習慣の見直しに取り組むことが望ましいでしょう。
体外受精は何回目で成功するのか
「体外受精は何回目で成功するのか」という疑問は、治療を始める前に多くの方が抱く関心事です。
一般的には、3〜4回の胚移植で累積妊娠率が高まるとされており、ある報告では30代前半の方が3回の採卵を行った場合、累積で70〜80%程度の妊娠率が期待できるとの結果が示されています。
ただし、年齢が上がるにつれて1回あたりの成功確率が低下するため、必要な回数は増える傾向にあるでしょう。
ここで重要なのは、「回数を重ねれば必ず成功する」わけではないという点です。
5〜6回以上の胚移植を行っても妊娠に至らない「反復着床不全」の場合は、子宮内環境や免疫因子の精密検査を行い、治療方針を見直す必要が出てきます。
回数だけにとらわれるのではなく、各周期の結果を丁寧に分析し、次の治療に活かしていく姿勢が大切でしょう。
また、体外受精を何回まで続けるかという問題は、医学的な判断だけでなく、経済的な負担や精神的な消耗とも密接に関わります。
2022年4月から保険適用が拡大されたことで治療へのハードルは下がりましたが、胚移植の回数には保険上の制限(40歳未満は通算6回、40〜43歳未満は通算3回)があるため、限られた回数の中で最大限の成果を引き出す治療計画が求められます。
体外受精の費用と保険適用
2022年4月の制度改正により、体外受精・顕微授精を含む生殖補助医療が保険適用の対象になりました。
治療開始時点で女性が43歳未満であること、胚移植の回数制限(40歳未満は6回、40〜43歳未満は3回)を満たすことが条件となっています。
保険適用により、体外受精1周期あたりの自己負担額は3割負担となり、さらに高額療養費制度を活用すれば月額の自己負担に上限が設けられるため、経済的な負担はかつてと比べて大幅に軽減されました。
ただし、保険診療に自費診療(先進医療を除く)を併用すると全額自己負担になる「混合診療の禁止」には注意が必要でしょう。
楠原ウィメンズクリニックは生殖補助医療実施医療機関として認定されており、保険適用での体外受精に対応しているほか、先進医療の併用にも対応しています。
都内在住の方は、先進医療に係る費用の一部に助成金が支給される制度も利用可能です。
体外受精と顕微授精で成功率に差はあるのか
体外受精を検討する際に「顕微授精のほうが成功率は高いのか」という疑問を持つ方は少なくないでしょう。
妊娠率のデータから言えば、体外受精(ふりかけ法)と顕微授精(ICSI)で妊娠率に大きな差はないとされています。
両者の違いは受精の方法にあり、ふりかけ法では卵子の周囲に精子を振りかけて自然に受精を促す一方、顕微授精では1個の精子を直接卵子に注入するという違いがあります。
顕微授精は主に精子の状態が良くない場合(精子の数が極端に少ない、運動率が低い、過去のふりかけ法で受精が成立しなかった場合など)に選択されるもので、「より高度だから成功率が高い」というわけではありません。
受精方法の選択は、あくまで精子と卵子の状態に基づいた医学的判断であり、成功率を上げるための「アップグレード」ではないことを理解しておきたいところです。
楠原ウィメンズクリニックでは、体外受精・顕微授精の両方に対応しており、採卵で得られた卵子と精子の状態を培養士が評価したうえで、最適な受精方法を選択する体制をとっています。
成功率を見るときに陥りやすい落とし穴
体外受精の成功率を調べる際、いくつかの点に注意が必要です。
まず、クリニック間の実績比較には慎重さが求められます。
患者層(年齢構成や不妊原因の内訳)が異なるクリニック同士の数字を単純比較しても、意味のある結論は導けません。
難症例を多く受け入れているクリニックは全体の数字が低くなりやすく、逆に若い患者が多いクリニックは高い数字が出やすい傾向があるためです。
また、「妊娠率」の数字だけに注目して「生産率」や「流産率」を見ていないケースもよくある落とし穴です。
妊娠が確認されても、その後に流産する確率は年齢が上がるほど高くなるため、妊娠率だけで治療の成果を判断するのは不十分といえるでしょう。
さらに、インターネット上の体験談や口コミは個別の事例に過ぎず、統計的なデータとは性質が異なります。
「40代で1回目の体外受精で成功した」という体験談は事実かもしれませんが、同年齢の方全員に同じ結果が期待できるわけではありません。
データに基づいた冷静な判断と、自分自身の検査結果に即した個別の治療計画を、信頼できる医師とともに立てることが何より重要です。
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体外受精の成功率は年齢や個人の状態によって大きく異なり、全国平均の数字だけでは自分自身の可能性を正確に見積もることはできません。
大切なのは、ご自身の検査データをもとに、どの治療法が最適か、どのようなスケジュールで進めるべきかを、経験豊富な医師と一緒に考えることでしょう。
楠原ウィメンズクリニックは、1996年の開業以来、多くの不妊患者の診療にあたってきた銀座のクリニックです。
日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医・日本生殖医学会生殖医療専門医が在籍し、体外受精・顕微授精を含む幅広い生殖補助医療に対応しています。
培養士が毎日の培養状態を医師に報告する連携体制により、一人ひとりの胚に合わせた治療を追求しています。
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体外受精セミナーも定期開催しており、治療の流れや費用について事前に詳しく知ることができます。
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