ブログ / Diary

子宮卵管造影検査についてのQ&A【第二弾】

こんにちは。 子宮卵管造影検査についてのQ&Aの第二弾になります。 Q. 子宮卵管造影検査の後は妊娠しやすくなるというのは本当か? A. 今までタイミング法で妊娠しなかった方が、卵管造影検査後のその周期にタイミングをもって妊娠する事は時々あります。 他に大きな不妊原因が無い場合、造影剤で卵管が拡張されて妊娠に結び付くと思われます。 Q. その効果はどのくらい続くか? A. 正確なデータはありませんが、2~3周期...

子宮卵管造影検査についてのQ&A【第一弾】

こんにちは。 子宮卵管造影検査について、患者さんから多く頂く質問をまとめてお答えいたします。 今回はその第一弾となります。 Q. 子宮卵管造影検査を行う時期は? A. 月経終了後から排卵する前までの期間です。 Q. 子宮卵管造影検査を受けたい時はどうしたらいいか? A. 子宮卵管造影検査をする前に甲状腺機能の血液検査を行います。 この甲状腺機能の数値によって使用する造影剤を判断します。 子宮卵管造影検査を...

2023年1月~4月までの体外受精の妊娠率をお知らせします。

こんにちは。 2023年1月~4月までの4ヶ月間の当院のARTの妊娠率をお知らせします。 2023年1月~4月末までの妊娠率(胚移植あたり・全年齢が対象)は61.1%でした。 流産率も低く13.6%という結果でした。 2022年の1年間の妊娠率(胚移植あたりの割合・40歳未満が対象)が51.4%でしたので、昨年を上回る好成績でした。 今年も引き続き頑張ります。

多のう胞性卵巣(PCOS)シリーズ【第三弾】

こんにちは。 多のう胞性卵巣(PCOS)シリーズ第三弾となります。 本日は『PCOSの治療』についてお話します。 PCOSの治療 ①排卵誘発(レトロゾール) レトロゾール錠という排卵誘発剤を5日間服用し、排卵を誘起し妊娠に結び付けます。 本剤は特に副作用もなく、効果的に排卵が起こせるのでPCOSの治療の第一選択です。 保険適応の薬剤です。 ②腹腔鏡下卵巣多孔術(LOD) PCOSの卵巣はその表面が厚く硬いので、卵胞が破れにくく...

多のう胞性卵巣(PCOS)シリーズ【第二弾】

こんにちは。 多のう胞性卵巣(PCOS)シリーズ第二弾となります。 今回は『PCOSの診断』についてお話いたします。 PCOSの診断 ①月経異常(無月経や稀発月経など) ②超音波で両側の卵巣の周囲に小さなのう胞が多数観察される(多のう胞)。 ③ホルモン分泌の異常 ・男性ホルモンが高い傾向(日本人では全ての方に当てはまるわけではありません) ・脳の中のホルモン中枢の脳下垂体から分泌される2つの卵巣刺激ホルモンのうち、...

多のう胞性卵巣(PCOS)シリーズ【第一弾】

こんにちは。 PCOS(多のう胞性卵巣症候群)について詳しくお話いたします。 多のう胞性卵巣症候群のことを医学的にPCOSと呼びます。 生理不順の方のうち、PCOSを原因とする方の割合は結構多く、日本人女性の10%前後の方に本症があると言われています。 今回は『PCOSの症状』についてお話します。 ①生理不順 ・無月経(3ヶ月以上月経がこない) ・稀発月経(月経周期が不順で、2~3ヶ月に1回しか月経がこない) ・無排卵性出血...

移植時に使用!高濃度ヒアルロン酸含有培養液について

こんにちは、楠原ウィメンズクリニック培養室です! 今回は移植時に使用するヒアルロン酸含有培養液の臨床成績をまとめました。 まず、高濃度ヒアルロン酸含有培養液とは胚移植専用の培養液で、名前の通りヒアルロン酸という成分が従来の培養液よりも高濃度に含まれています。 ヒアルロン酸は女性の子宮内膜に存在しており、受精卵の着床時期になると発現量がピークに達することで、ヒアルロン酸を介して受精卵は子宮内膜に接着します...

採卵後の卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の予防法について

2022年4月よりARTに保険が適用されていますが、その一つに卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の予防目的でカベルゴリン錠(カバサール錠)とレトロゾール錠の服用が対象となっています。 今回両剤でOHSSの予防が充分可能か否か、OHSS発症のリスクが高い67名の患者さんを対象に分析しました。 その結果、 ①67名のうち62名、92.5%がOHSSを予防できました。 ②残り5名、7.5%は軽度のOHSSになりましたが、1~2日間の外来での点滴治療で済みました。 ③...

卵子凍結では成熟卵を何個凍結すればいいの?年齢別で解説!

こんにちは、楠原ウィメンズクリニック培養室です! 卵子凍結を検討されている方 自分の年齢では子供を授かるのにどれくらいの数を凍結する必要があるのか、参考になる文献を見つけたので紹介します。 2017年に出た論文では 例えば34、37、42歳の患者さんでそれぞれ成熟卵母細胞が8個ある場合、胚盤胞は平均で34歳は3個、37歳は2個、42歳は1個であると予測します。 上記を踏まえて、20個の成熟卵母細胞を凍結すると少なくとも1人の...