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卵子凍結が話題の今、どう考える?

卵子凍結が話題の今、どう考える?

― 20代〜30代前半の女性に、産婦人科医として伝えたいこと―


20代で「気になる」気持ちについて >



最近、卵子凍結が話題になっています。
SNSで体験が語られたり、東京都の助成制度をきっかけに多くの人が知るよう様になりました。

私の周りでも、
「気にはなるけれど、どうしたらいいかわからない」
そんな声をよく聞きます。


特に、最近、20代の方からも
「卵子凍結が気になります」と相談を受けることが増えました。

私は、この感覚自体はとても自然で、良いことだと思っています。

20代前半は、女性ホルモンが最も活発に働き、
本能的に
「恋愛」「将来」「家族」
といったテーマが心に浮かびやすい時期です。

もし卵子凍結が気になるなら、
それは「私は将来、子どもを持ちたいかもしれない」という内側のサインとして受け取ってみてください。

ただ、卵子凍結を「将来のへのとりあえずの保険」のような位置づけにしてしまうと、本質を見失いがちになります。

まずは
どんな人生を送りたいか、どんな家族像を思い描いているか、
そこから考えることが何より大切です。
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20代〜30代前半この年代で一番大切なこと

この年代で最も優先すべきことは、将来にも備えて自分の体の状態を知ることです。
会社の健康診断や自治体の検診は、今の健康を調べるもので、将来の妊娠する力を見るためのものではありません。

「卵子凍結、私は必要かしら?」
そう思った時点で、20代で医療機関を受診してかまいません。

婦人科でに相談すると、
・子宮内膜症
・子宮筋腫
・卵巣機能の低下
などが見つかることもあります。

なかには、年齢に関わらず、
早めの対応を勧められる方もいらっしゃいます。
それは将来の妊娠だけでなく、
健康な暮らしを送るための体づくりにもつながります。
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その上で、現実的な判断材料として、ポイントを3つご紹介しましょう。

ポイント① 年齢の考え方

一般的に、女性の妊娠率は35歳頃から低下していきます。
では、20代〜30代前半で必ず卵子凍結をすべきかというと、
答えは、必ずしもそうではありません。

一般的に、結婚し、妊娠を考える時、まず多くの場合「自然妊娠」を目指します。

20代〜30代前半であれば、自然に授からない場合も、
まずはスクリーニング検査やタイミング法など、

・身体的、金銭的な負担が比較的少ない
・保険診療のサポートが受けやすい

といった方法にしっかり取り組めます。

卵子凍結が最も力を発揮するのは「年齢による妊娠率低下」を補う場面です。
そのため、男性因子(精子の数や運動率)や子宮の問題がある場合には、
必ずしも解決策になるとは限りません。

この点から考えると、卵子凍結が本当に有効になりやすいのは35歳以降と言えます。

*詳しくは「30代のからだ時間 ー こどもを持つかの選択肢子供をもつ選択肢を考える」“https://note.com/dr_for_flower/n/n18c432975503?sub_rt=share_sb も参考に。
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ポイント② 卵巣機能が高い20代ほど、身体への反応が強く出やすい

20代は、卵巣機能が高く、ホルモンへの反応も良い年代です。
その一方で、卵巣刺激を行うと、
卵巣が一時的に腫れやすいという特徴があります。

特に注意が必要なのが、
OHSS(卵巣過剰刺激症候群)のリスクです。

多くの場合は軽症で、1週間程度で自然に落ち着きますが、
腹部の張りや不快感、通院回数の増加など、
「想像していたより負担が多いある」と感じる方もいます。

20代での卵子凍結は、
「体が元気だから楽」では必ずしもない
という点は、ぜひ知っておいてください。
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ポイント③ 使う日まで、時間とお金がかかるという現実

20代で卵子凍結をした場合、
まずは自然妊娠から目指せるので、実際に使うのは30代後半以降、というケースが多くなります。

つまり、
10年以上保管する可能性がある、ということです。

卵子凍結には
・採卵、凍結の初期費用  30〜70万
・年間保管料 ※5〜10万円前後
がかかります。

10年間で考えると、
保管料だけでも数十万円になることは珍しくありません。

この金額を
「未来の自分への投資」と考える方もいれば、
「今の自分の学びや経験、生活に使いたい」と考える方もいます。

どちらが正しい、ということはありません。
ただ、卵子凍結は
「ノーリスクの貯金」ではなく、時間と費用を伴う未回収の投資
であることは、理解した上で選んでほしいと思います。
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だからこそ、20代で一番大切なこと

20代で卵子凍結を考えたとき時、
まずやってほしいのは
「今すぐ凍結するかどうかを決めること」ではありません。

・自分の体の状態を知る
・将来、子どもをどう考えているかを整理する
・凍結という選択肢を、正確に理解する

この順番で十分です。

卵子凍結は、
早くやった人が得をする制度ではありません。

「今はやらない」と決めることも、
未来の自分に説明できる、立派な選択です。
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最後に

「こんな相談で来て婦人科に行っていいのかな?」そう思う必要はありません。

迷ったら、ぜひ専門家に、
「私、卵子凍結は必要ですか?」と、率直に聞いてみてください。

卵子凍結は、流行で決めるものでも、
不安で急ぐものでもありません。

自分の人生に合ったタイミングと意味で選ぶこと。
それが、一番いちばん大切だと思っています。
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これを機会にかかりつけの産婦人科をみつけてみましょう。

当院では、相談から必要な診察、将来の妊娠までサポートします。
楠原ウィメンズクリニック 院長 楠原淳子まで。

オンライン診療もできますが、初めての方は来院いただき、診察を含めて、より個人に合わせた相談をお勧めします。

楠原ウィメンズクリニック
https://www.kusuhara-womens.jp