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卵子凍結は何歳まで?年齢と卵子の質の関係を胚培養士が解説

こんにちは、楠原ウィメンズクリニック培養室です。
卵子凍結が気になっている方の中には、
「何歳までにやればいいの?」
「卵子の質はいつから下がるの?」
と疑問に思われている方も多いのではないでしょうか。
今回は、日々卵子や受精に関わっている胚培養士の視点から、
できるだけわかりやすくお話しします!

● 卵子の質は何歳から下がる?数だけでなく“質”も変化します
卵子については「年齢とともに数が減る」という話をよく聞きますよね。
でも実は...
それと同じくらい大切なのが“質”の変化です!

・数 → 年齢とともに減る
・質 → 見えないけれど変わっていく

この“質”が妊娠に大きく関わってきます

● 卵子の“質が下がる”とはどういうこと?
卵子の中には「染色体」という、赤ちゃんの設計図があります。
本来は受精のときにきれいに半分に分かれるはずなのですが...
年齢とともに、この分配がうまくいかないことが増えてきます。
イメージとしては、
「ぴったり分かれるはずのものが、ちょっとズレる」
その結果...

・受精しにくくなる
・胚の発育が途中で止まりやすくなる
・着床しにくくなる

といったことにつながります。

● 年齢とともに変わる染色体異常の割合
複数の研究において、卵子や胚の染色体異常は

・20代:約20%前後
・35歳以降:徐々に増加(約30〜40%程度)
・40歳前後:50%以上

と報告されています(1)(2)。
(※極体解析などの研究により、卵子レベルでも同様に年齢とともに増加することがわかっています(4))
さらに、
妊娠率の低下は、「子宮」ではなく卵子そのものの質が大きく関係していることも示されています(3)。
つまり...
年齢とともに「正常な卵子の割合」が少しずつ減っていく
ということです。

● だから「卵子凍結」という選択肢があります
卵子凍結は、
“今の卵子の状態をそのまま保存する”技術です!
将来の妊娠に備えて、
今の年齢の卵子を残しておくという考え方になります。

● 胚培養士から見たリアルな実感
私たち胚培養士は日々、
・卵子の成熟状態
・受精の様子
・胚の育ち方
を直接見ています。
その中で感じるのは...
年齢による“見えない違い”は確実にあるということです。
見た目は同じでも、発育の安定性やスピードに違いが出ることがあります。

● でも「もう遅い?」ということではありません!
ここ、とても大事です!
年齢が上がっても、妊娠される方はたくさんいらっしゃいます。
ただし...
「確率が少しずつ変わる」というイメージが近いです。

● 当院での凍結卵子の融解成績
当院では、卵子凍結・融解において
高い生存率と安定した受精率を維持しています(2025年当院実績n=33)。

・融解後生存率:100%(当院データ)
・受精率(ICSI):97%(当院データ)

凍結後も安心してご使用いただける体制を整えています

● こんな方におすすめです!
・将来妊娠を考えている
・仕事やライフプランの都合で今すぐ妊娠が難しい
・30代で将来に備えたいと考えている

● よくある質問(Q&A)
Q. 卵子凍結は何歳まで可能ですか?
A. 当院では治療の効果を考慮して、採卵する年齢を原則満40歳の誕生日までといたします。35歳までに行うことでより良い結果が期待されます。
Q. 卵子の質はいつから下がりますか?
A. 個人差はありますが、30代後半から変化が大きくなるとされています。

● 最後に
卵子凍結は「急ぐべきもの」ではありませんが、
将来の選択肢を広げる方法の一つです。
「知らなかった」ではなく
「知った上で選べる」ことがとても大切です。

気になることがあれば、いつでもご相談ください。

参考文献
(1) Hassold T, Hunt P. Nat Rev Genet. 2001;2(4):280–291.
(2) Fragouli E et al. Hum Reprod Update. 2011;17(5):595–606.
(3) Navot D et al. Fertil Steril. 1991;55(4):701–710.
(4) Handyside AH et al. Hum Reprod. 2012;27(1):47–54.